資産運用にはさまざまな方法がありますが、その一つが「国債」です。
文字通り、国債とは国が発行する債券のことですが、具体的な内容まではわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、国債とは何か、また、個人で購入できる国債やメリット・デメリットについて解説します。
国債とは?
債券とは、不特定多数の人から資金を調達する際に発行する借用証書のことで、国が発行する債券を「国債」といい、資金を調達する手段の一つです。
福祉や教育、設備建設など、国はさまざまな費用を負担していますが、その支出を税収などで補えないこともあります。
国債とは、まさにそのような場合に発行するもので、つまり、国からの借金の申し出に同意した投資家が、国債を購入することで国にお金を貸すというしくみです。
投資家からしてみれば、お金を貸した相手が国であるという安心感もあり、国が破綻しない限りは元本割れの心配もなく、定期的に利息も受け取れるため、リスクの少ない資産運用手段の一つです。
ちなみに、国債発行総額は2018年の時点で149兆円を超えており、2018年度も新たに約33兆円の国債が新規発行されました。
また、多くの国債は、金融機関や年金基金などをはじめとする大口投資家が購入していますが、個人でも国債の購入は可能で、証券会社や銀行などで購入することができます。
ただし、この国債にはいくつかの種類があり、個人投資家では購入できないものもありますので、資産運用の選択肢として考える際には確認しておきましょう。
国債の種類は2つ
では、国債にはどのような種類があるか見ていきましょう。国債には、大きくわけると利付国債と割引国債の2つがあります。
利付国債
利付国債とは、半年に1度利子が支払われる国債です。
発行時に満期が決まっており、国が破綻しない限り満期時には元本が戻ってくるというもので、そのうち利子が固定のものを固定利付債、利子が変動するものを変動利付債といいます。
そして、固定利付債には、満期が2年・5年・10年・20年・30年・40年の国債と、3年・5年固定金利型の個人向け国債があり、変動利付債には、満期が15年の変動利付国債や10年変動金利型の個人向け国債、物価連動国債があります。
割引国債
割引国債も発行時に満期が決まっているものですが、満期までの利子分が額面金額から割り引かれた価格で発行されるため、利付国債のように定期的な利子の支払いはありません。
しかし、満期時には額面金額で戻ってくるというもので、2009年に2ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年の国庫短期証券として統一され、現在は法人への販売のみとなりました。
個人で購入できる国債
個人で購入できる国債には「個人向け国債」と「新窓販国債」があります。
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
個人向け国債
個人向け国債は、個人投資家しか購入することができない国債です。
3年・5年・10年の期間設定があり、3年と5年は固定金利、10年は変動金利となっています。
固定金利とは、発行時に設定された利率が満期まで変わらないもので、もし実勢金利が下落した場合でも設定時の金利が適用されるという安心感があります。
しかし、逆に金利が上昇したとしてもその影響を受けないため、変動金利であれば受け取れたはずの利子はもらえません。
そして、変動金利の場合には半年ごとに適用金利が変更されるので、受け取る利子はその都度増減します。
下限金利は設定されているものの、投資結果は最後までわからないというのが特徴です。
新窓販国債
新窓販国債は、個人投資家も法人も購入できる国債で、2年・5年・10年の期間設定があり、いずれも固定金利です。
個人向け国債とは異なって中途換金は認められておらず、下限金利も設定されていません。
なお、市場への売却は可能ですが、タイミング次第では元本割れするリスクがあります。
個人向け国債のメリット・デメリット
個人で購入できる国債には個人向け国債と新窓販国債がありますが、下限金利の設定や換金による元本保証などの点からも、個人向け国債のほうがメリットは多いとされています。
そこで、個人向け国債のメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット①比較的安全性が高い
これは個人向け国債に限ったことではありませんが、国債を発行しているのは国であり、国の信用が高いほど破綻するリスクは低く、満期日には元本が戻ってくることから、比較的安全性は高いと言えるでしょう。
投資信託や株式の場合は元本保証がありませんし、銀行などに預金していた場合でも、元本保証は最大1,000万円までとされていますので、その点を比較しても国債のほうが安心だということがわかります。
メリット②定期預金より金利が高い
個人向け国債の金利は、下限金利でも0.05%ですので、定期預金をするよりも国債を購入したほうが高い運用利回りを期待できるという点もメリットの一つです。
メリット③小額投資ができる
株式投資や不動産投資の場合、最初にある程度のまとまった資金が必要になりますし、投資信託や単元未満株の場合には少額でも購入可能ですが、手数料が割高になることもあります。
その点、個人向け国債は最低1万円から1万円単位で購入できますし、新規発行の国債であれば、購入手数料や売却手数料が必要ないというメリットもあります。
デメリット①1年間は中途換金できない
個人向け国債は、原則として最低1年間は中途換金ができないとされています。
また、1年経過後に換金する場合でも、中途換金調整額として割引が発生するため、期間によっては期待するほどの利子が付かないこともあります。
ただし、大規模な自然災害が発生した場合や、国債を保有する本人が死亡した場合などは、経過期間に関係なく中途換金は可能です。
デメリット②購入できる期間が限られている
通常、国債は毎月発行されますが、決められた募集期間内でなければ購入できません。
募集期間は国債の種類によって異なりますので、タイミングを逃さないように金融機関などでスケジュールを確認するようにしてください。
デメリット③投資信託よりも金利が低い
国債の金利は、普通預金や定期預金よりは高いものの、投資信託よりは低いという傾向があります。
投資信託の金利によっても異なりますが、大きな運用益は期待できないという点がデメリットの一つです。
まとめ
今回は、国債とは何か、国債の種類や個人で購入できる国債についてお伝えしました。個人で購入できる国債には、個人向け国債と新窓販国債がありますが、メリットの多さからも個人向け国債を検討する方は多いでしょう。
その際には、固定金利と変動金利のどちらがよいかだけでなく、途中換金した場合には中途換金調整額が発生する点も踏まえ、保有期間も含めて選ぶようにしてください。